2015年09月02日

行列のできる法律相談所:収入逆転夫婦の財産分与は?!

1. 行列のできる法律相談所:収入逆転夫婦の財産分与は?!

収入逆転夫婦の財産分与は?!

 男性Aと女性Bは、共稼ぎの夫婦。
 二人が結婚した時の約束は、生活費を折半し、夫も家事を手伝う、という事だった。
 しかし、男性Aは、家事をろくにしなかった。
 これを不満に思った女性Bは、結婚生活10年目にして離婚を決意。
 男性Aは言う。
 貯金は共有財産だから、離婚したら折半だな、と。
 現在、夫婦の貯金は1000万円。
 通常なら、500万円ずつに折半される。
 が、女性Bは納得出来ない。
 男性Aは年収が200万円だったが、女性Bは年収1000万円だったのだ。
 年収が少ない上に、家事を押し付けておいて、貯金は折半だなんて納得出来ない、と。
 果たして、財産は半分ずつ折半か。それとも、妻の方が多く貰えるのか?

北村弁護士の見解:折半
例えばこれ、男女を置き変えて考えていただきたいんですけど。奥さんを大事にしてる旦那がいて、家事も全部家政婦さんにしていただきましたと。だから一切家事もしないし一円も稼いでないという奥さんでも、この妻がいるから自分は頑張れるんだ、頑張りました。で、稼いだ財産、これ折半が原則なんですね。このご夫婦に取ってですよ、あの奥さんはあの旦那がいたからキャリアウーマンとして頑張れたっていう面が当然ある筈なんですよ。ある段階では嫌になったかも知れない、しかし相当の期間は旦那が心の支えになってくれてるから頑張れた。男女同権の世の中で、原則折半という事にしないと収まりが付かない

本村弁護士の見解:折半
これね、やっぱり折半にしないと不公平なんですよ。例えば一般的に、本当はバリバリ仕事が出来る人なのに、結婚を機に仕事を辞めたという人は多い訳ですよね。子供が生まれて、仕事をセーブしているという人も多い訳ですよ。これは男も女も両方有り得ますからね。夫婦で話し合って、役割分担をしている訳ですよ。それが、協力して財産を作るという意味なんですね

 北村・本村弁護士の見解は、常識に沿ったものと言える。
 共有財産は折半が原則なのに、ちょっとした不満程度でこの原則を崩していたら、切りが無い。
 今回の男性Aは、妻より収入が低くかったが、これは不法行為でも何でもない。夫婦で収入が全く同じ、というのは有り得ず、必ずどちらかが低くなる。今回、偶々夫の方が低かっただけ。
 家事を全くしない、というのも、不法行為ではない。「家事をしていたら共有財産はもっと増えていた、家事をしなかったから共有財産が激減した」という訳でもない。
 男性Aがギャンブルに興じていて、貯金に回す筈の金を使い込んでおり、貯金を阻害していた、というのならともかく、そうでない以上、原則を無闇に崩すべきでない。

大渕弁護士の見解:妻7:3夫
このVTRのケースでは、全く家事をしない。そういう人にまで半々認めてしまったら、家の事をちゃんとやってる人にとっても不公平だし、当然貰えると思って家の事やらないというのもおかしな話ですので、それは、貢献度に合わせて割合は変えるべきだと考えます

菊池弁護士の見解:妻6:4夫
基本のスタートは折半でいいと思うんです。ところが、やっぱり例外はあるんですね。非常に高額に収入を得ている片方と、そうでない方、という様な場合は、これも矢張り折半かというと逆に不公平が出て来るという事で、どっかで調節しなきゃいけない

 菊池・大渕弁護士の見解はこじつけっぽい。
 特に、大渕弁護士自身は殆ど家事をしていないらしいのに、他人の事を言えるのかね、と思ってしまう。
 菊池弁護士の指摘通り、夫婦で収入に極端な差があり、貯金が巨額な場合は、折半だと不公平になる。
 しかし今回、妻が年収1000万円で、夫は年収200万円。差があるといえばあるが、極端とも言えない。貯金も1000万円。どぶに捨てられる額ではないが、日本屈指の巨万の富、という程でもない。
 この程度で折半の原則を崩していたら、原則の適用が寧ろ稀になってしまう。
 折半の原則を崩すとしたら、片方の収入が1億円、貯金も1億円くらいにならないと駄目だろう。(^~^;)


posted by taktak99 at 23:11| Comment(1) | TrackBack(0) | 行列のできる法律相談所 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
これは当然折半です。夫Aが家事を全く手伝わなかった?そんなもん、全く関係ありません。年収が妻Bの年収は夫Aの年収より高い?それも全く関係ありません。津村さんも御指摘の通り、夫Aがギャンブルにハマって多額の借金を作ったと言った事情があれば、そういう事情も考慮されてもおかしくはないんですけれども、そういった要素はない以上、これは原則に基づいて考えることになるため、当然折半という結論に至るわけです。
Posted by 瓦版 at 2015年10月07日 21:59
コメントを書く
コチラをクリックしてください

この記事へのトラックバック