お前の営業トークで会社が倒産するではないか?!
男性Aは中小企業の社長。
自身の給料を3割カットする、と朝礼で宣言。
そこまで業績が悪化していたのだ。これで危機を乗り越えよう、と考えていたが……。
そんなある日。
会社では、契約の打ち切りの連絡が相次いだ。
なぜなのか、と男性Aは不思議に思う。
女性社員が言う。
中堅幹部男性Bの言動が原因ではないか、と。
男性Bは営業先や取引先との接待で「うちの会社は厳しい。社長は自ら給料をカットしているし、昼間は照明を使わないようにしているし、クーラーも使わないようにしている」などと話していたのだ。
それを聞いた取引先は不安に思い、男性Aの会社との契約を打ち切っていたのだ。
男性Aは、男性Bを責める。
つまらぬ営業トークで会社が本当に潰れるではないか、お前はクビだ、と。
男性Bは反論。営業トークの話のネタとして喋っていただけだし、悪意があった訳でもない、と。
倒産の噂を流した社員を首にできるのか?
「判決」では、菊池弁護士以外が「クビにできない」の見解を出した。
その結果、倒産の噂を流した社員を首にできる可能性は20%に。
最終的には、「社員に落ち度はあるものの、ただ営業トークが下手だっただけであるため、クビにするのは難しいようです」で締めくくられた。
北村弁護士の見解:クビにできない
「これはクビにできません。一部門の社員というのは、元々視野が狭いですね。判断力も社長ほど高くない。それは当たり前です。だから、社員に求められることは……。基本的には一生懸命仕事する。これだけで充分なんです。偶々失敗しても、一々咎めていてはこれは働けないですよ」
北村弁護士の見解は、社員を馬鹿にしているような。
社長は判断力がある、一部門の社員はない、社長は視野が広い、一般社員は視野が狭い、というのは極論だろう。
実際の会社ではむしろ社長こそ判断力に欠けていて、視野が狭い場合がある。
住田弁護士の見解:クビにできない
「今回の場合ですと、今までだったら多分通用した営業トークだったと思うんですよ。今の時世に合わなかっただけなんで、全く悪意がない。あとは、教育訓練してどうしても駄目、ていう……。例えばどなたか(磯野貴理)のようにフリートークもできないという場合にはありえるとは思うんですが、会社員の場合、研修して注意すればわかると思いますし、クビにはできません」
菊池弁護士に対する本村弁護士の反論を受けて:
「私は本村弁護士と違って過失はあると思うんですよ」
住田弁護士の見解は合理的。
今回のケースの場合、何の警告もなく即解雇、というのは厳し過ぎる。
そのような営業トークはするんじゃない、と何度も指導を受けていたにも拘わらず逆効果の営業トークを繰り広げていたなら解雇も止むを得ないが……。
ただ、今回の場合、男性Bに指導したところで営業のやり方が変わるとは思えない。(^~^;)
本村弁護士の見解:クビにできない
「一般的には、社員が会社の社会的な信用や経済的な信用を損なうような言動をした場合には懲戒処分の対象になります。しかし、今回の場合は、仮に倒産寸前になったとしても、社員の発言と倒産寸前になったという結果の間には因果関係がないと考えられます」
菊池弁護士の発言を受けて:
「会社に悪影響を及ぼすようなことは言ってないでしょ?」
本村弁護士の見解は、何を言っているのかよく分からない。
男性Bの営業トークで取引先が会社との契約打ち切りを決めた、という設定が前提となっているのに、「因果関係はない」と言い切ってしまっている。
VTRの内容を否定していたら、争点そのものがなくなってしまう。
菊池弁護士の見解:クビにできる
「倒産寸前の危機的状況にこの会社は追い込まれてしまった訳です。会社に対する信用不安を、例え冗談であってもこのご時世にあっちで喋る、こっちで喋る……。どういうことになるかをこの社員は十分噛み締めるべきだと思います。内部から会社の信用情報に関する悪影響を及ぼすことを発信するような社員は、これは一緒に仕事はできません」
菊池弁護士の見解も合理的。
男性Bが喋った内容は単なる営業トークで、悪気がなかったのは事実。
しかし、実害が生じてしまっている。
悪気がなくても、実害が生じている以上、何らかの制裁が加えられるのは止むを得ない。交通事故で相手を死亡させたら、例え悪気がなかったとしても罪に問われるのと同じ。
会社が倒産の危機に陥るほどの事態となったら、解雇も止むを得ない、と考えるのが普通だろう。
社長にその程度の裁量が認められなければ、社長の存在意義がなくなってしまう。
無論、社長の鶴の一声で社員をガンガン解雇できる、となっては別の意味で問題になるから、個々の事情を吟味しなければならない。(^~^;)
瓦版さんの意見:
これはもう、問答無用で解雇できますね。いくらセールストークとはいえども、やはりこれは明らかに限度を越えていると思います。不況で職場の皆が苦しんでいる中、社長が自分の給料を減らしてでも、何とか会社を上手く経営しようとしていた矢先、こういう大馬鹿社員の軽率な行動の所為で会社に実害を及ぼしたわけですから、当然、この社員はそれなりの責任を取らねばならないということになるわけなんですね。「自分の会社は倒産寸前なんです!!」と言われたら、普通に考えれば、どんな取引先も「倒産寸前の企業の巻き添えを喰らって、自分達の会社も倒産したら、大変なことになるぞ!!」と考えて、提携を切ることぐらい、社会人であれば分かっていなければならないような常識論だというわけです。よって、これは問答無用で解雇して何ら問題ないという菊地弁護士の見解こそが合理的であって、他の3人の弁護士の見解は詭弁と捉えることができるということになるわけなんです。まぁ、一言で片付ければ、やはり何事も限度を越えた軽率な振る舞いは後々自分の身を滅ぼす原因になるということでしょうかね…。
現実の営業マンは今回のより常識的に行動することを願うしかない……。(^~^;)
通りすがりの法律家さんの意見:
通りすがりの者ですが
あまりにも気になったので一言。
本村弁護士が言っている因果関係というのは
法律上の因果関係のことです。
一社員の営業トークと会社倒産との間に
相当因果関係はない
ということを言っているのです。
法律家から見ればもっともな意見です。
これはVTRに出てきた事実を
法律的に評価しているだけなのです。
VTRの内容を否定しているわけでは
ないのです。
電車侍さんの意見:
これは、全く解雇は無理ですね。今回は北村・住田・本村弁護士(とは言っても北村弁護士は社員をバカにしている様な所があるので厳密に言えば住田・本村弁護士)の意見が妥当です。住田弁護士が言う様に、今回の男性Bが喋った事は単なる営業トークのレベルであり、悪意が全く無い。本村弁護士が言う様に、今回の男性Bの喋った事と会社が倒産する事との間に相当な因果関係はありません。これは、常識とかが絡んで来る様なそう言うレベルの問題では無い。こんな簡単な事で社員を解雇していたら、法律では10人、100人、1000人、10000人ときりが無さ過ぎて、不当解雇になりますから。したがって、「今回の場合はただの営業トークのレベルであり、社員を解雇できる程のレベルでは無い。」「こんな簡単な事で社員を解雇してしまうと、単なる不当解雇になる。」と言うのが僕の見解です。以上です。
悪意のない営業トークとは言え、取引先に不安を与え、それで契約中止に至ってしまった以上、「法律的に因果関係はない」というのはどうかね、と思う……。(^~^;)
通りすがりさんの意見:
私も解雇までは無理だと思います。
私も営業マンですが、営業トークは本当に神経を使うんでしすよ。それこそ神経をすり減らす思いです。
その反面、思わず口走ってしまう事も多々あるんですよね。
今回は実害を生じてしまったという問題はあるのですが
ここで「解雇」ではなく営業から他部署への異動とかで対処は充分にできると思います。
営業は向き不向きがはっきり出ます。なので即解雇ではなく
「営業に不向き」ということでの他の部署への異動、これで充分ではないのでしょうか?
本物の営業マンから反論されると、こちらからすると何も言えない……。(^~^;)
まにさんの意見:
ビデオに溜め取りして後で見たので、見解が今頃になってしまいました。
「解雇できるかどうか」は、微妙なところかもしれませんが、いずれにせよ重い処分の対象にはなるでしょうね。会社に対し、著しい損害を与えた。これは、たとえ悪意はなくとも解雇理由になり得る要素を十分に孕んでいます。処分しないと、「コイツのせいで俺達の給料まで下がっちゃったよ」となり、他の社員のモチベーションまで下がってしまうでしょう。
ただ、こんな事態になるまで、他の社員はまったく手を打たなかったのか?そこが気になる。
それに対し、男性Bの影響力の強さ。噂話をあそこまで広げるということは、逆に言えば、それだけ多くの仕事を任されていたということ。「セールストークは常軌を逸していたかもしれないが、仕事は優秀だった。」そんな見方もできる…いや、できないか…。
通りすがりの法律家さんの仰る「因果関係」についてですが…
「ビジネス上は因果関係はあるが、法的には因果関係はない。」…と、そういうことでしょうか?
本件は、ビジネス上のトラブル。法律とビジネスとを、切り離して考えるのはどうかと思いますが…
ラベル:行列のできる法律相談所
あまりにも気になったので一言。
本村弁護士が言っている因果関係というのは
法律上の因果関係のことです。
一社員の営業トークと会社倒産との間に
相当因果関係はない
ということを言っているのです。
法律家から見ればもっともな意見です。
これはVTRに出てきた事実を
法律的に評価しているだけなのです。
VTRの内容を否定しているわけでは
ないのです。
この違いがお分かりになりますか?
私も営業マンですが、営業トークは本当に神経を使うんでしすよ。それこそ神経をすり減らす思いです。
その反面、思わず口走ってしまう事も多々あるんですよね。
今回は実害を生じてしまったという問題はあるのですが
ここで「解雇」ではなく営業から他部署への異動とかで対処は充分にできると思います。
営業は向き不向きがはっきり出ます。なので即解雇ではなく
「営業に不向き」ということでの他の部署への異動、これで充分ではないのでしょうか?
「解雇できるかどうか」は、微妙なところかもしれませんが、いずれにせよ重い処分の対象にはなるでしょうね。会社に対し、著しい損害を与えた。これは、たとえ悪意はなくとも解雇理由になり得る要素を十分に孕んでいます。処分しないと、「コイツのせいで俺達の給料まで下がっちゃったよ」となり、他の社員のモチベーションまで下がってしまうでしょう。
ただ、こんな事態になるまで、他の社員はまったく手を打たなかったのか?そこが気になる。
それに対し、男性Bの影響力の強さ。噂話をあそこまで広げるということは、逆に言えば、それだけ多くの仕事を任されていたということ。「セールストークは常軌を逸していたかもしれないが、仕事は優秀だった。」そんな見方もできる…いや、できないか…。
通りすがりの法律家さんの仰る「因果関係」についてですが…
「ビジネス上は因果関係はあるが、法的には因果関係はない。」…と、そういうことでしょうか?
本件は、ビジネス上のトラブル。法律とビジネスとを、切り離して考えるのはどうかと思いますが…
まず社長が自身の給料を3割もカットしなければならないと判断したという事は、もう業績が悪いというだけではなく倒産寸前という事なんですね。「自分の会社は倒産寸前」というのが自社の社会的信用を下げる事実である事はもう明白ですし、結果的に契約を切られるという実害まで生じています。よって倒産する前に解雇して、人件費を無くすしかないです。